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10月27日
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麒麟というお笑い芸人コンビの田村裕さんが書いた「ホームレス中学生」という(自伝)本を読みました。

小学生の時に母を病で亡くし、中学生の時に家が差し押さえられて父から突然「(家族)解散!」と告げられた体験が描かれています。

(最近はバラエティー番組をほとんど見ない)私はこの芸人さんを知りませんでしたが、テレビのニュースでこの本を読んだ多くの人が、

住処を失った(著者の)田村さんが一時住んだという公園を訪れて、本で描かれていることの追体験をしているのを知り、興味を持ちました。

 

この本では、著者が“突然家を失う”という経験から“人生にとって大切なものは何か”ということを豊かに汲み上げているのが印象的です。

語り口が非常に素直なので、抵抗なく(「他人の不幸は蜜の味」などと後ろめたさを感じることなく)読み進めることができますし、

なにより(少し時間が経って、記憶が整理されてやや美化されていることを差し引いたとしても)その困難な状況の中でも、

周囲の人々への感謝の気持ちで満ち溢れているのには驚きます。(亡き母を含め、素敵な家族に恵まれていたことが大きいと思いますが)

公園に来ていた読者のうち、子育てに悩んでいる若い母親が、「空腹のときに盗みをしよう、と魔がさしたのを(他界した)母が止めてくれた、と

優しかった母との思い出を語っているのが印象に残り、子どもとの時間を大切にしようと思った」といっていたのも(読後)うなずけます。

 

個人的に私はおそらく、この本を読むことで“自分がいかに甘えているか”ということを痛感したかったのではないか、という気がします。

(ただ、著者のお父さんのその後の行方がどうなっているのか、という点は少し気がかりですね・・。)